あたらしい世界へ

おなかがぽっこり大きかったころは

毎日ひまだ、ひまだとばかりつぶやいていた

 

だけど今はひまだとつぶやくひまはすっかりなくなった

あの頃ひまだったすべての時間は今

子のためにそそがれるようになった

 

おなかがぽっこり大きかったころは

図書館に通って毎日毎日本ばかり読んでいた

今はもう図書館へも行けてないし

本をゆっくり読む余裕もなくなった

 

あのころおなかが重かったり、暑かったり、

ホルモンのバランスだったりしてうまく眠れない夜が続いて

もう無理して眠るのはやめようだなんて思ってたけど

今は無理しなくても授乳の合間をねらって夜眠るようになった

 

今までは夫婦でゆっくりお酒をのみながら食事するのが

二人の楽しみだったけど

お酒が飲めなくなって

そうして最近はゆっくり食事もできなくなって

一人が食べて、一人が子守り交代で食べている

 

休日だって東京のどこか適当な駅で降りて

辺りをぷらりと散歩して

古ぼけた食堂や呑み屋をみつけてはそこで一杯

そうしてはしごしつつ家路へつくなんてことしてたのに

今はまるでできなくなっちゃった

 

薄汚くて古ぼけたカウンターに座って

日本酒をちびちびやれるようになるのは何年先かしら、、、

 

だけど、いいんだ

それらのことは今までもう十分楽しんだ

そして今は新しい楽しみができた

今まで知ることも、知ろうともしなかった世界に

私たちは足を踏み込んでいる