スモウと銭湯

温度差が日々激しかったり

ぼうやのだっこちゃんがとまらなかったりするせいで

近頃体がバキバキしてきた

 

産後は骨盤がずれやすいと聞くが

なんだか本当にずれてるみたいで動きが悪い

頭も肩も腰も、すべて重い

それでもとまらないだっこちゃん

 

あなたの方が若くて元気いっぱいなのだから

少しは年寄りをいたわってくれよと言ってはみるが

ぼうやは聞く耳もたず、だっこされて自慢げである

 

そんなことを夫にぐちぐちもらしていたら

見ててあげるから銭湯でも行ってきなよと言ってくれた

 

ひゃっほーい!自転車をすっとばす

 

家の台所の窓から見える二本の煙突

一本はごみ処理場で、もう一本がこの銭湯

夫は足臭湯(あしくさゆ)と呼ぶ

以前、桜が満開だった季節

夫婦で夜桜散歩をした夜のこと

その晩は満月もきれいで大変いい気分だから銭湯でも寄っていくか

と、行ってみるとぷーんとにおう

ぷーんどころではない、ぶおぉぉぉんと入り口付近に充満している

見るとよく履きこまれたブーツが一足

 

しばし考えたが夫はこいつと一緒の湯につかるのはちょっと

私も風呂上りの気持ちいいときに改めてこのにおいをかぐのはちょっと

その日はあきらめたのだった

それ以来、足臭湯

 

その一夜が強烈だっただけで本来はとてもいい銭湯

久しぶりにやってきた

ここは浴室に巨大なテレビが設置してあって

湯船につかりながらテレビをみることができるのである

 

テレビの中でまでテレビを見たいなんて、どうかしてるよ

風呂くらいゆっくり入らせてくれだなんて最初は思ったけれど

どっこいこれがいいのですね

銭湯で湯につかるとだんだんひまになってきて目のやり場になんとなく困る

人が体を洗っている様をなんとはなしに眺めてしまって

あ、いけね。見られたくはないよなぁだなんて反省して

おもむろに足をもみもみしたり、腹をさすったり、

それでも間が持たなくなってそそくさと出ていく

 

テレビがあれば心配ご無用のんびりみればいいのだ

その日は相撲であった

ふだん相撲は見ない

興味ないわけでも無いが特別あるわけでも無い

 

琴奨菊豪栄道、遠藤

というふだん見ない私でもさすがに知っているサンレンチャン

周りのおばあちゃんたちも興味津々であるのが伝わってくる

豪栄道の取組が始まるときなんて、髪を洗う手がとまってテレビに釘付けだ

遠藤はだっこちゃんの歌をうたっている遠藤しか見たことなかった

初めて相撲をとっている姿が見れるぞとわくわくした

だけどもこの日は元気なくあっさりと終わってしまって少し残念だった

 

しばし脳からぼうやセンサーの電源をきってのんびり湯につかる

湯上りにビックルをのんでリフレッシュ

愛する夫とぼうやが待つ家に自転車をすっとばす

 

濡れた頭が夜風にひんやり