白いかもめと黒いかもめ
姿を現したのはわたしの好きな白いかもめだったから迷わず乗り込んだ
隣のホームは普通列車を待つ学生たちでごった返している
そんな彼らをしり目にかもめはぷいーんと走り出す
博多と長崎をつなぐ特急かもめ
夫の実家は長崎県にあり
帰省した時には必ず一日は長崎市内観光をする
今回は終点長崎のひとつ手前、浦上で降りる
大人二人なら普通電車でもかまわないけれど
ぼうやがいると混雑した電車で30分ちょっとは疲れるし、席を譲ってもらったりして恐縮してしまうが、
かもめなら15分ほどで着いちゃうし、確実に座れるのでそこは贅沢をする
以前はかもめにも車内販売があったのに今はなくなってしまってさみしい
かもめだけじゃない、国内の車内販売はどんどん消えつつあって、わたしはさみしい
たとえ車内販売があってもこの日は利用するひまなどないほどの乗車時間
あつい
夏のような日差しと空気
お財布に120円入っているか確認して浦上駅前から路面電車に乗り換える
がたんごとんと電車ははしる
松山町というところで降りる
道路の反対側に見える入り口
階段とエスカレーターとあって
暑いし、ぼうやをだっこで重いから
自動で上まで運んでもらう
やってきたのは平和公園
原爆落下中心地より北側の小高い丘にある
エスカレーターを登りきると噴水がある
原爆のため体内まで焼けただれ、水を、水をと苦しみながら死んでいった被爆者たちの冥福を祈って…平和の泉
そのふちには飲みかけの水が入ったペットボトルがおいてあった
あぁ、あのとき暑くてハンカチを出そうとあの噴水のふちにペットボトルを置いてそのまま忘れてきてしまったわ!なんて馬鹿なのわたし
ちょっと戻って取り行かなきゃ!!
という人が本当にうっかりやってしまったというだけのペットボトルであってほしいと願う
平和を願って金の鶴
アイスクリームを食べて涼しくなって
てくてく歩いて浦上天主堂を目指す
たまたま防空壕の中にいた、たった一人の少女を残して
この町に住んでいた人たちは一瞬にして消えてしまった
そんなSF映画みたいなことが実際に起こった町
そしてそれは映画なんかじゃない、現実だ
言葉にしようとするとチンケだな
どんなに考えても説明できない
わたしにはそんな力ない
ゆるやかな坂になった商店街みたいな通りを歩き、横断歩道を渡って
車が登るのは大変そうなくらいの坂道をぐいとのぼると浦上天主堂
どこからか、誰かさんが吹く笛の音が響いている
それを聴きながら町を見下ろすとなんともいえない気持ちになって
ただ、今こうして家族3人で観光していられることがなんて幸せなんだろうかとじんわり思う
外の空気とはまるで別世界のように浦上天主堂のなかはひんやりと
ひっそりと、穏やかで心が、しん、とした
きた道を駅まで戻ると平和公園とは反対側にもこんもり緑の公園らしきもの
もしかして…
爆心地だった
今は公園になっていて、ベンチにはおばあちゃん3人が誰かのグチを言いあったり
ハトがてこてこ歩きまわって餌を催促していたりといたって普通の公園なんだけど、
70年ほど前、この上空ではパーンと原子爆弾が破裂して和やかなみんなの生活は一瞬にして消え去った
路面電車にのってお昼ご飯食べにいく
中華街の入り口にあった皿うどんや
他の中華街的な外観とは一線を画す、キタナシュラン的な店構え
過去なんどか訪れ、とってもおいしいんだけどここ数年は正月ばかり帰省して、お店は正月休みで食べれなくて、正月でない今日こそまさにチャンス!とばかりにやってきたが、おそらくここだろうというところはきれいさっぱり空き地になっていた
坂の街として有名な長崎
自転車に乗れない人が多いと有名な長崎
では、ベビーカーはどうなの?
実際ほとんど見かけなかった
どうせ坂だし…と思って今日は私たちもベビーカーはやめにしておんぶで歩きまわっている
中華街や思案橋付近にあるアーケード
浜町商店街では無料でベビーカーを貸してくれるうえ、授乳室もあるのでまずは一旦休憩して
ベビーカーを借りて周辺の坂以外のところを散策したり土産をかったりできます
あごだしと平戸の甘酒買って
じじばばがぼうやのことこころ待ちにしてるからまたもかもめに乗ってぷいーんと帰りました