家出したはなし②

チリツモで我慢ならなくなって

またも口論をしたある夜

 

nemunk.hateblo.jp

 

 

今夜はとうとうもうダメだ、離婚だ!

離婚の前にとりあえず家出だ!

と、夕食後の後片付けをしながら静かに

しかし強く心に決めた

 

ちなみにその日の口論のネタは

私はぼうやに生活リズムを身につけてほしくて毎日ある程度同じ時間で行動している

夕食後はお風呂に8時までには入るって決めている

これは夫にも何度も言ったし言ってもダメだから壁に貼ったりもしていたが

しばらくたつとすぐ忘れて自分のペースで飲み続け、疲れてるからすぐ酔っ払って楽しくなっちゃって全然風呂に入らない

入る、これ飲んだらすぐ入ると言いつつ全然入らない

いつになったら入るんじゃ!!

とまじめに言ったことで火がつき

こんな生活リズムがどうのなんて、お前が勝手にやりたいだけだろ!って言われた

 

ようやくぼうやと風呂に入って、この間に家出してやろうかしらとも思ったけどそれじゃぼうやがかわいそうだから

風呂からあがったぼうやを寝かしつけてから、トイレ行くみたいに自然と玄関を出て私は駅に向かって走った

 

夜9時

 

こんな時間にひとりで歩くのなんて久々だ

ほんの数年前まではこんな時間に帰ってくるのが普通でそこからのみに行ったりしてたのに

生活は変わったものだ

よく飲み歩いた駅前の横丁をふらふら散歩した

どの店も賑やかで、ネオンやちょうちんがぼんやりしてお祭りみたい

こんなにバカみたいヒトって笑って騒いでたかね?と新鮮だった

どの店もとても楽しそうだけど、そのどこにも私の居場所はないように思えて寂しくなった

 

でも、せっかく家出してきたのだから一杯のみたい

ファミレスでなく、せっかくなら普段はもう入れないバーとかで

そう思った時にあすこしかない!と頭に浮かんだ店がひとつ

 

勇気を出してドアをあけた

 

そこはまだ結婚する前の若かりし夫が連れてきてくれたバーで、その後も何度もふたりで行ったマスターも顔見知りのバー

 

お久しぶりです。

こどもはまだ小さいですが今日は夫がむかついたので家出してきました。

 

と言いながら座ると笑って迎えてくれた

ビールを一口飲む、うまい!

ビールの味だけに集中できるこの時間すごいと思った

 

そのあと小一時間、マスターと他のお客さんたちが私の話を聞いてくれてあーだこーだ言ってくれて、家出するなんてすごいと言ってくれて、そして、こんなにも自分の話を聞いてもらってるこの時間すごいと思った

 

すっかり○○くんのお母さんになってしまって外で自分の話をする時間なんてなかったからなんて贅沢なの!と

私、話をきいてもらいたかったんだときづいた

 

予想外にスッキリした気持ちで帰宅すると、夫は疲れ果てていた

ぼうやが起きて泣いて大変だったと

そうですか

 

寝ているぼうやに、

迷惑かけてごめんね、でもおかげでスッキリできたよ、ありがとうと声をかけた

 

その後数日かけて夫婦でよく話し合って、夜のバイトはやめることになった

部屋の気に入らないところも今後少しずつよくしていこうということになった

 

そして今はまた三人でごはんを食べる毎日を過ごしています

Dinner