さよならネオン

妊婦になって半年。

最初から自分が妊婦だと自覚して生活してきたわけでない。

とくに最初の頃は見た目に何も変化はない。

腹の中には命があると言われても、どうすればいいのかわからない。

うっかりしてたらトイレで流れてしまってるんじゃないかと思ったりして

不安になる。

今まで誰も私の心配などしてこなかったのに、

やたらとあれするな、これするなと言われたり、調子はどうかと聞かれたり。

 

見た目には変化はなくても体調はすこぶる悪い。

悪いけど、ある日突然優先席に座るってことにも抵抗がある。

万が一外出先で具合が悪くなったりしたらと考えると外出すらしたくなくなる。

病院で妊娠が確定する少し前から

体におこる不調が今までとはまるでレベルが変わった。

今までは冷静になれば対処できるくらいのものだったが、

今や想像を超えてガツンとくる。まるで勝てない痛みや、だるさ。

それを考えると電車が恐怖。

徒歩圏内の生活。

まぁ外出しなけりゃならない用事も、もうなくなったけど。

 

日常生活はがらりと変わる。

何をするにも食べるにもいちいちこれは体に大丈夫かと調べたりして。

いつも何かを少しだけ我慢する。

 

調べだしたらきりがない。

あれもダメ、これもダメ。

気になったらネットですぐ調べてしまう。

調べなきゃ知らずに済むけど、後で知って後悔などしたくはない。

胎児に影響が出たらどうしようと不安にかられて調べる毎日。

 

ひかえたほうがいいものばかりなのに、家を一歩出れば控えるべきものは

キラキラ輝き街にあふれかえっている。

そういったものをなるべく見ないように食事の買い物だけして、

悶々としながら家に帰り食事の支度をする。

 

窓の外にひろがる夕暮れの空をみながら、今まではまだ仕事して

そうしてそのまま飲みにいったりしてたのになぁとぼやく。

いまや、もう6時以降は外出しない毎日。

ネオンが、もういいよと思っていた新宿のネオンですら懐かしい。