ビールへの愛を綴る その3

泣いたって、書いたって、ビールはのめない。

このビール問題は思いのほか長く私を苦しめる。

あんまりにも考えすぎて、これじゃストレスのほうが胎児に悪影響を及ぼすのでは

ないかというほどけっこう落ち込んでしまった。

今となっちゃそれも一つのホルモンのせいでしょうと解決できるが

当時はわかっちゃいるけど、余裕がない。

 

妊娠中でも少しはのんだという人もいるという話を耳にするようになって、

こんなにもストレスを感じるくらいなら、この先またどうしても飲みたくなったら

のもうとゆるい選択肢を作ってみようかと考えていたが、夫に猛反対を受けた。

彼は言う、何を言ってんだ。絶対にダメだ。頼むから飲まないでくれ。と。

そういわれて、また泣いた。別にのんでもないのに

ただ一つの逃げ道としてゆるく構えたいと思ってのことだったのに

こんなにも反対されるとは。

母親にも何気なくビールなら平気かなと冗談交じりで言ってみたら、

やっぱりここでもすごい剣幕で、何をばかげたことを言ってんだと怒られた。

一口だってのんでないのにこんなに怒られるなんて。

あんなに好きだったビールをきちんとずっと我慢して暮らしているのに

なぜこんなにも怒られなきゃあならんのか。

 

腹に向かって一人嘆く。

みんなが私をいじめるんだよぉ。生きていくって誠に大変なことなのよぉ。

自分がどんなにがんばったって他人にしてみりゃ大したことないのよ。

あんたもがんばんなさい、と。自分を守るのは自分なのよ、と。

ぽぽんと腹が動く。

 

ノンアルコールビールは、ますます私の心を空っぽにする。

琥珀色に輝く見た目とグラスを口につけるその瞬間、あれ?ビールだ!!と思う。

口に含みノドを流れた瞬間、あぁ、そうよね。ビールじゃないんだもんね。

ちょっとワクワクしちゃったじゃないのと、より一層の失望を味わう。

代用品としてのベストはゲロルシュタイナー