冬から春、そして夏がくる

あと三ヶ月。

三ヶ月後には私の腹から新しい命が出てくる。

家族が増える。

子供を持つとはどういうことか。

ずっと考えているけれど、やっぱりまだよくわからない。

私はどうなってしまうのかな。

毎日腹の中ではごろごろと胎児が動き続けているけども、

事実だけど、本当かな?と疑ったりもする。

 

過ぎてきた月日を見返せば今日まで早かったような気もするし、

まだあと三ヶ月もあるのかとも思う。

いずれにせよ、仕事をしていた頃の毎日に比べると

とてもゆったりしていて、今日まであっと言う間だったとは決して思わない。

 

つくづく、不思議だなと思う。

普通の食事をしているだけで、人一人作られるなんて。

生き物ってすごい。

自分自身の心も体も、精神状態も目まぐるしく変化していく。

今まで考えたこともないようなことを考え、

興味をもたなかったことを調べ、

イライラしたり、絶望的な気持ちになったり、無性に悲しくなったり、

涙もろくなったり。

 

勝手にだけど、妊婦ってもっと幸せに満ち溢れているのかと思っていた。

なってみてわかったのは決してそれだけではないんだってことだ。

人一人の命を作るのだから、そんな簡単なはずはなかったんだ。

 

葉桜になったくらいから、やっと幸せムードが広がってきた。

その先のことを考えられる余裕がでてきた。

 

それまではずっと妊娠、出産によって失ってしまうものばかり見ていた。

どうすればそれらを失わず、子育てしていけるのかと考えてばかりいた。

(もちろん、それは覚悟しての妊娠だったわけだけど。)

だけど、ようやく最近わかってきた。

もっと別の視点で考えて、新しい世界を楽しんでいけばいいのだと。

ここまでくるのに半年かかった。

たぶん、この先はもう大丈夫かな?

現実をきちんと受け入れて、その先の未来を考えていこうと思う。