今日は風が気持ちいい。
引越してきた新しい部屋には和室があって
その小さな窓からは気持ちの良い風がすうーっと入ってくる。
もしも、その窓から青い空や木々がちらりとでも見えたらもっと気持ちいいのだけど、
今見えるのはマンションの階段。
それでも心地いい風を感じながら
ふとんに転がって本を読んでいる。
遠く、道行く人の声や
通過する車の音が心地いい。
こんなに落ち着いた気持ちで本なんか読んでるの、いつぶりだろうか。
ぼうやは、珍しく昼寝した。
ねむい、ねむりたくない、だっこして、つらいなどとひとしきり騒いでいるのを、見つつも
自分の睡魔に勝てず放置してたらいつのまにか寝てた。
入れ替わりにわたしは目覚め、本を読んでいる。
石田千さんの「箸もてば」
図書館で借りて読んで、好きになって。
古本屋で見つけて買って、そのままになってたのをようやく今読んだ。
以前は焦ってばかりで、
あれもこれも何にもできない自分をすごく情けないと思っていつも悲しい気持ちでいっぱいだったけど、引越してからヒトツキほどたった頃焦らずとも、ゆっくりやってりゃそのうちできるさ。と思えるようになった。
そして、本当にひとつひとつできるようになってきた。
この読書の時間と心の状態も、以前はまるで手に入らなかったことなのに、ほらね、できてるよわたし。
さぁ、わたしも千さんの本にならって
近所のやおやさんまで、がま口持っていってこよう。
まずぼうやを起こさなきゃ。