生まれ育った街の光、色、記憶

新しい土地で暮らしを再構築していくのはなにかと大変なことも多いけど、

そのひとつに太陽の動きがまるで読めないということがあった。

感覚過敏なゆえなのか、私にとってはものすごく大きな問題で

この半年は不安になりっぱなしだった。

 

同時にわかったのは生まれ育った町の太陽の動きがものすごく懐かしいと感じたこと。

夕焼けの色とか、時間とか、匂いとか、日の出から日没までの体感とか、季節の太陽の位置とか、風の匂いも、空気も、色も、気温もすべてものすごく懐かしい。

そしてその世界感で長い期間を過ごすことはこの先もうないのかなと思うと切なくて、

今はずいぶん遠いところにきたのだなぁとしみじみ思う。

 

わたしが生まれ育ったのは神奈川県の逗子という街で、海沿いの日差しがサンサンと降り注ぎ明るい光の街。夕焼けがきれいで海によく見にいっていた。

江ノ島と富士山と夕日が見える。

冬がとくに綺麗に見えて好きだった。

そういえば、富士山とも長らくお会いできなくて少しさみしい。

で、これが少し北に上がり東京に行くと、明るさが全然違う。気温も違う。

逗子は明るく暖かいけど、東京は暗く寒い。

夏のキラキラする光も、冬のぽかぽかする光も逗子と新宿じゃ違う。横浜も少し違う。

 

新宿から湘南新宿ライン乗って実家へ向かう時にいつも感じたのは大船を出ると光が強くなり北鎌倉に着く頃にはもう馴染みの光。帰ってきたな。

 

今は長崎県にいる。

逗子の光をはるかに超えて太陽はずっと高いところにいてなかなか沈まない。

冬になっても沈まなくて、関東の12月のもう2時で西陽感!みたいなのがなくて、長崎の12月はいつもポカポカしてて季節感が飛んで不安になった。

5時すぎても明るくて1番遅い日没は5時半だった。

そのかわり、冬の朝はなかなか太陽が登ってこない。7時半くらいまで暗い。

 

今、5月の長崎の太陽は20時近くまで明るくて驚いている。

だけど冬ほどの不安はない。

長崎の太陽をようやく理解できてきたのかもしれない。

明るい時間が長いのは嬉しいけど、なんとなく落ち着かないのは夜の闇に包まれる時間の合計数が少ないからなのではないか。

夜の活動時間が少なすぎるきがする。

けれど、東京や神奈川と違って夜になると街がちゃんと静かになるからこちらに引っ越してからは早寝するようになった。するように、というよりは眠くなっちゃう。

やはり、太陽に照らされる時間が長いから疲れるのかもしれない。

こどもたちもよく寝るようになった。

 

これから初めての梅雨の6月と7月がくる。

どんなかんじで過ぎていくのだろうか。

 

馴染みの海と夕日の光と色